one small step

山に登りながらその風景を撮り、これから登山を始める人のささやかな道標となれば良いかなと思い書いています。その他普段考えてる事なども書きます。

one small step

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趣味が山とカメラである自分がSNSだけに投稿して

そのまま人々の視線の流れるままに忘れ去られてしまうのが悲しくて

ブログを始めることにした。

2年前より本格的に登山を始め、少しずつギアも増やしつつ

今はテン泊や雪山にもある程度(といっても初級の山だが)行くようになり

ほぼ毎回ソロ山行である自分の記事がどれだけ役に立つかは不明…

なので計画やアプローチというよりも、山に登る間に考えていることや

登山を通して自分にどんな変化が訪れたかといった、

副次的な側面にスポットをあてる内容になるかと思う。

 

このブログのタイトルは

「one small step」

これはキツい山に登っている間毎回途中で引き返そうと考えた時、

「どんな険しい山も一歩、いや半歩足を前に出せば山頂に近づく」

そう言い聞かせながら歩いているときに浮かんだ言葉から来ている。

小さな一歩も、確実に進んだ歩数分は目的地に向かっている。

 

冒頭の写真は谷川岳、オキの耳から見たトマの耳。

群馬と新潟の県境に聳える谷川連峰は中央分水嶺であり、

日本海からの湿った空気が山にぶつかり大量の雪を降らせる。

山頂から群馬側、新潟側をそれぞれ見やると明らかな積雪量の違いが分かる。

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谷川岳は遭難者数がギネスに載るほど多い。

世界一高いエベレストよりもはるかに多くの登山家の命を飲み込んできた

通称魔の山である。

しかし冬季の通常ルートから登る分には危険は殆ど無く、

適切な装備をもってすれば初心者の山と呼べるほど登りやすい。

都内からのアクセスも良く、ロープウェイを使いある程度標高を上げられ、

トレースもしっかりしている。

そして2千メートルに満たない山であるにも関わらず、

山頂から見える景色は決してアルプスにも引けを取らない壮大なものである。

天候が安定しないこの山域で幸運にも晴れたこの日の山は、

前年に登山口にも行けなかった悔しさを払拭して有り余るほどの感動をくれた。

 

山に登っている間、皆どんなことを考えるだろうか?

登山をしない人には意味のない問いではあるが、

登りはじめ、自分は日常の瑣末なことで頭がいっぱいになっている。

 仕事のこと、人間関係のこと、過去の嫌な思い出etc…

傾斜がきつくなる頃、それらはいつの間にか隅に追いやられ、

荒い息遣いと美しい景色にすり替わっている。

僕はそれをクオリアと呼んでいる。

本来の意味とは違うが、自分はそれを登山による一種の恍惚状態と捉え

それこそが自分を山へ駆り立てる大きな要因であると思っている。

 

次のクオリアを求め、また山を探し計画を立てるのである。

 

まだ始まったばかりのこのブログが単なる登山記ではなく、

人生を振り返ってみて得てきたもの、代わりに差し出したものの

答え合わせのようになっていくのが、楽しみである。