蝶ヶ岳テント泊山行
先日の上高地開山祭では荒天の為テント泊を断念した。
そのリベンジ山行として槍ヶ岳に2泊3日で登る計画をしたが、
今回も天気が崩れそうな気配。
そこで丁度一年前に徳沢園に泊まり早朝登った蝶ヶ岳が
天気が保ちそうな為ここに変更した。
仕事を終え、身支度を整え夜行バスに乗る。
ウトウトして目が覚めたら上高地だ。
今回は晴れ。河童橋から望む穂高もひと月前に比べ雪が溶けている。
今回の為に新しいザックを担ぎいざ蝶ヶ岳へ。
明神岳が神々しい。
登山口である徳沢に着くと木々の間から日が射していた。
徳沢から蝶ヶ岳へは長塀(ながかべ)尾根を行くのだが、
これがとにかく急登でひたすら登り続ける苦行のような道である。
その上樹林帯で展望も無く楽しみもない。
急登が幾分緩やかになると今度はグサグサに腐った残雪。
アイゼンを付けるほどでもないのでツボ足で行くが
何度も踏み抜き、その度に膝上まで雪に埋まる。
登り続けること5時間半、ようやく山頂手前の妖精ノ池に到着。
グリーンシーズンだと綺麗な色なのだが、この時期は妖精はいる気配が無い。
長い長い登りを終えると広がるのは穂高連峰だ。
去年初めて登った時にあまりの迫力に飛び上がって喜んだこの景色。
苦しい思いをする価値がある風景だ。
槍も涸沢も奥穂高もよく見える。
蝶ヶ岳ヒュッテでテント泊の受付をし、空腹で目眩がするので
確実に人生史上最も美味いおでんだった。
一息ついてテントの設営。
蝶ヶ岳は強風で有名で、設営中に何度もテントが飛ばされそうになる。
今回は安曇野の街を一望出来る場所が束の間の我が家だ。
ぶらぶら撮影しながら散歩。
そして槍を見ながらコーヒーを淹れる。
山ではどんな些細なものでもご馳走になる。
それは景色も一緒に頂くからだと常々思う。
今回は自分の登山歴の中で最もキツい山行だった。
やはり長塀尾根はその名に違わずひたすら長い。
両足が攣ってしまい立ち往生することも度々。
改めて、山行計画をしっかりしなくてはと思い知らされた。
蝶ヶ岳のテント場は稜線上にあるので強風が名物だが、
自分も漏れなくその恩恵(?)を受けた。
午前2時頃から強さを増し、テントのたわみがすごいことに。
慌てて外に出てヘッドランプの灯りの下、再度ペグを固定。
しかし夜明け前にいよいよ危険と判断し早々に撤収。
朝食もほとんど摂らず5時に下山開始、8時に徳沢へ着いた。
去年も長塀尾根を登る間、二度と登らないと思っていて
今回も全く同じことを思った。
でもこの景色を見てしまったら、また来てしまうだろう。
全く山は罪作りな存在だとつくづく思う。